可憐なオオカミくん







「二人付き合ったんだ!」
「おめでとうー!」
「ってか、付き合ってると思ってたよ」

 キャンプファイヤーが開催されて、盛り上がる中、みんなに報告をした。なんだか照れくさくて、口角は上がりっぱなしだ。
 

「一華! おめでとう。よかったね。男性恐怖症治ったんだ。愛の力ってすごいね」
 
「ありがとう。穂乃果ちゃん」

 私の手を握って、一緒に喜んでくれる穂乃果ちゃん。その優しさに、心が喜びで満たされていく。
 
 
「え、なになに。男性恐怖症って」

 大吾くんと恭平くんには、男性恐怖症のことを話していなかった。
 葵くんからも話していなかったようだ。
 
 二人が良い人だとわかったし、葵くんの仲良しさんなら、わたしも友達になりたい。そう思ったので、男性恐怖症であることを、ゆっくりと説明した。

 二人はドン引きするわけでもなく、嘲笑うこともなく。真剣に聞いてくれた。

「そっか。一華ちゃ……立花さんも大変だったんだな」
 
「でも、あれだろ? 葵のおかげで男性恐怖症克服できたんだろ?」

「……うん!」

「いえーい!」

 大吾くんと恭平くんは両手を掲げている。
 これは、ハイタッチというやつかな。

 そうだ。
 わたしは男性恐怖症を克服できたんだ。
 現に、こうやって大吾くんと、恭平くんと話していても、拒否反応はでない。

「いえーい!」

 声を張り上げて二人の手のひらにハイタッチをした。
 パチン! 乾いた音と手のひらに、軽めの痛みが走る。

 よし。
 わたしは、男性恐怖症を克服でき……。

 ぶわわわ。
 両手に蕁麻疹が広がっていく。

「克服できてない!」

 それからは大変だった。
 わたしの腕にぷつぷつと湿疹が現れたのでみんなが慌てて大変だった。
 先に宿に戻り、腕を冷やして、何とか落ち着いた。


 みんなより先に宿についたわたしたちは、二人きり。
 葵くんは、全然平気なのにな。
 葵くんが近くにいても、蕁麻疹など出てくる気配もない。


「ねえ。葵くん」
 
「もう平気?」

「うん……わたし、男性恐怖症治ったの、葵くんだけみたい」

「……」

「克服できたと思ったのになー。困った、ね」


 せっかく男性恐怖症治ったと思ったのにな。
 落ち込むわたしに聞こえてきた言葉は、予想していない言葉だった。
 

「困るわけないじゃん。大歓迎だけど」
 
「え、でも。男性恐怖症治してあげるって、言ってたよね?」

「治ったじゃん。僕にだけ」

「……」
 
「僕が束縛しなくたって。一華は僕だけのものってことでしょ。そんなの、大歓迎に決まってるよ」

「……」

「誰にも近づかせない。僕だけのもの♡」