俺も世に言う適齢期。所帯を持ち、子供を授かる同年代も居る。そんな中、自分は告白さえ出来ないでいるなんて。

 手前に置かれたプリンを手に取る。茜が食べたそうにしていたので買ってみた。甘いものが好きなのは彼女の上司から度々聞かされ、またこの部長が茜を信頼していると知っている。

 茜も語っていたが若くして出世した彼には敵が多い。その一方で優秀な部下に恵まれ、足元をすくわれないようにしてもいた。そして俺が知る限り、部長は誰それ構わずフレンチトーストは差し入れない。そう、茜は間違いなく可愛がられている。なんなら恋仲と噂されるくらいに。

「はぁ……」

 また溜め息がでた。恋敵が部長なんて分が悪過ぎる。あんな有能な男の側で働いていれば目が肥え、俺が仕事面でアピールできることは無いだろう。しかしそれでもと踏ん張り勤めるも、まだまだ部長には及ばない。

 その時、シャワーを絞る音がした。俺は無意識に浴室へ目線をやり、ごくんと飲み込む。