これが恋愛経験の差なのか、私は誠を男性として接しようとするのに対し、誠は私を私として知ろうとしてくれる。

 コンビニで買い物する際も私がどんな商品に興味を持つか観察して、カロリーを見て購入を諦めたデザートをこっそり買い足したり。

「誠には敵わないなぁ。私ばっかりドキドキしてる。それこそ変な汗をかいちゃったよ」

 拳を解いて、両手を頬を冷ます為に仰ぐ。

「じゃあ、茜が先にシャワー使え。新品のTシャツがあるから貸すな」

「ありがとう。あ、彼シャツってやつだね!」

 そう笑って誠を見上げると、勢いよく視線を外されてしまった。

「何? どうしたの?」

「……なんでもない。はい、シャツ。浴室はキッチンの横で、シャンプーとかは適当に使って」

 折り目のついたシャツを渡し、誠はベッドの縁へ移動した。それから頭を抱える。

「誠?」

「俺はなんでもないから、ゆっくり浴びておいで」

「う、うん。何かあれば言ってね?」

「あぁ」

 今頃になって酔いが回ったのかもしれない。
 誠の様子に後ろ髪を引かれつつも、浴室へ向かった。