俺様同期の溺愛が誰にも止められない

「ねえ、碧」
「何?」

名前を呼ばれて顔を上げると、じっと私を見る優紀の顔はいつになく真剣だった。

「影井がモテモテの王子様なのは碧だって知っているはずよね」
「ええ、もちろん」

私だって、だてに大学時代から友人として付き合っていたわけではない。
影井素晴がどれだけ頭がよくて、器用で、スポーツ万能で、人好きのする人間なのかはわかっているし、その上見た目だって良いからいつも女の子に囲まれている。

「本当に、住むところがなくて困っていたから影井との同棲を了承しただけなの?」
「ええ。それに、同棲ではなくて同居ね」

優紀が何を想像しているのか知らないけれど、私と影井は純粋に同居人でしかない。

「何言っているの、男女が一緒に住めばどっちも一緒よ」
「そうかなあ」

確かに、優紀の反応が世間の常識なのかもしれないな。