俺様同期の溺愛が誰にも止められない

用が済むと出て行った影井はいいけれど、残された私は窮地に立たされることになった。
そりゃあね、王子様が急に現れれば騒がれて当然なんだけれど・・・

「もしかして碧先生と影井先生って、」
「え、何?ただの同期よ。それだけ」

こういう時に動揺すればするだけ怪しいのに、何とかこの場から逃げだしたい思いが先に働いてしまう。私は本当に小心者だ。
さあ困ったぞ、どうやってこの場を切り抜けようかと考えを巡らせていた時、優紀が休憩室へと入って来た。

「あら碧、影井から薬を受け取ったのね」
「え?」

昼食を持って休憩室に入ってきた優紀が私の横の席に座り目配せする。

「昨日の飲み会の時に落としたのを、影井が拾ってくれていたのよ」

どうやら優紀が助け舟を出してくれるらしいから、こうなったら乗るしかないだろう。

「あ、ああ、そうなんだ。どこに行ったんだろうって探していたから、影井が持っていたなんてびっくりしちゃった」

うん、これで一応話のつじつまは合う。

「何だ、そうだったんですか」
その場にいたスタッフ達も一応納得した様子で、私はホッとした。