俺様同期の溺愛が誰にも止められない

夕食はビーフシチューとサラダと野菜のたっぷり入った温かなミネストローネが用意してあったようで、温めて盛り付けるだけになっていた。

「凄いわね」
テーブルにお料理と食器が並んだあたりで、無意識のうちに声が出た。

事前に調理はしてあったのだろうから、温めたりお皿に移したりでそんなに手間のかかる作業があるとは思わないが、並んだメニューの豪華さと食器やカトラリーの美しさには目を奪われた。
グラス一つとっても繊細でフォルムがキレイで我が家の物とは違う気がするし、お料理も見るからに美味しそう。
毎日こんなに手の込んだ料理を一人で食べているのだとすれば、影井は一体何者だろう。

「ビールかワイン、飲むか?」
「いいえ、私はお水で十分」

数日前に飲み過ぎて記憶をなくしたばかりだから、しばらくお酒はやめておこう。
それに、私も影井も明日が休日ってわけではないから深酒はできない。

「そうか、じゃあ俺も水にするか」
そう言って冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出している影井。

「私は気にせずに、飲んでいいのよ。もしかして、今夜は待機なの?」
「いや、違うよ」

待機の時は何かあれば呼び出しされるからお酒を飲むわけにはいかないけれど、そうではないらしい。
せっかくおいしそうな料理があるのなら飲んでもいいのよとすすめようとしたけれど、影井はグラスにお水を注ぎだした。

「とにかく食事にしよう。食べながら、水野に話もあるんだ」
「そう、じゃあ頂きましょう」

話しって何だろうと気になりながら、私はテーブルについた。