俺様同期の溺愛が誰にも止められない

朝食を食べに出たホテルで病院のスタッフを見かけたし、遠くの方から影井の名前を囁く声が聞こえていたから覚悟はしていたけれど、やはり噂になっているらしい。
本当に女子って怖い。

「王子様は人気絶大だからね、独り占めは許さないってことじゃないの」

私だって好き好んで影井に接近しているわけではない。
どちらかというと避けているくらいなのに。

「向こうからやってくるんだからしょうがないでしょ」

相手が優紀だってこともあり、つい愚痴のようになってしまう。

「いいんじゃないの。恋愛偏差値の0の碧には少しハイレベルな気もするけれど、お似合いだと思うわ」
「ど、どこがっ」

つい声が大きくなったところで優紀に睨まれ、私は口をつぐんだ。
影井と私が恋愛なんて、たとえ天変地異が起きてもありえない。
この時の私はそう思っていた。