「さすがに美男美女のカップルは、絵になるわね」

挨拶を終え集団から少し離れた位置で見ていた私のもとに近寄って声をかけたのは、大学時代からの友人で同僚の岡田優紀。私と同じ27歳の内科医。
身長165センチと高身長のスレンダーで、普段は一つに括っているダークブラウンでウエーブがかった長い髪を今日は下ろしているから、かなり周囲の目を引いている。

「そう言う優紀も相当な美女だけれどね」

鼻筋が通り、口元にも存在感があり整っているため、かわいいというよりも美人だなとの印象を与える優紀。
ただ、そのやや上がり気味な目尻がきつい印象を与えるようで、初対面では近づきがたいと思われることも多い。

「新婦に求めるのは綺麗さでも賢さでもなく、親しみやすさと安らぎでしょ。どっちにしても私や碧にはないものってことね」
「そうかなあ・・・」

医者って言えば職業的にはかなりのステータスだと思うけれど、女性として見ればマイナスポイントになるのかもしれない。
確かに、普通の男性はわざわざ女医を彼女や妻にしたいとは思わないだろうな。

「おい、パーティーが始まるぞ」
結婚式が終わり参列者がホテルへ入って行く中、たたずんでいる私達に声がかかった。

「ああ、うん」

今日は病院の同僚や上司だけでなく大学時代の友人たちもたくさん参列しているため、かなり大人数の人が集まっている。
その中には新郎の後輩にあたる私の同期も何人かいて、声をかけてきたのもそんな一人だった。