俺様同期の溺愛が誰にも止められない

想像していたこととは言え、救急外来の中はちょっとした修羅場だった、
事故はかなり大きなものだったらしく、先ほどから救急車の音が鳴りやまないし、次から次へと運ばれてくる患者も後を絶たない。

「あれ水野先生どうしたの、応援?」
「ええ、まあ、ちょっと」

スタッフたちは私服のままうろつく私を不思議そうに見ていて、時々声もかかる。
これだけの患者がいれば、きっと色々な科から応援が来ているのだろう。
私も雑踏に紛れて周囲を見渡すけれど、それでも素晴を見つけることはできなかった。

「あの、影井先生は?」
ちょうどやって来た救命科の先生に尋ねた。

「次の救急車で帰ってくるよ。現地でケガをしたら」
「わかりました、ありがとうございます」

先生の言葉を最後まで聞くこともなく、私は救急車の搬入口へ走った。