俺様同期の溺愛が誰にも止められない

私だって、素晴のことが嫌いなわけではない。
一緒にいたいし、特別な存在だとも思う。
でも二人の関係は私達だけが知っていればいいことで、わざわざ周囲に広めようとは思わない。
そこが、私と素晴の大きな違いなのだろう。

「ほら君が泣きそうな顔をしているから、何かされたんじゃないかって影井先生が睨んでいるよ」

そう言われて振り返ると、素晴と目が合った。
何か言いたそうにこちらを見る素晴の顔は怒っているようにも見える。

「お坊ちゃんは勘がいいらしいな」

高杉先生が素晴のことを『お坊ちゃん』と呼ぶことに違和感を感じて、私は高杉先生を見た。

「まあ、頑張って。応援しているから」

何か含みのある言い方が気にはなったが私には何も聞けず、そのまま病棟へ戻ることとなった。