俺様同期の溺愛が誰にも止められない

緊急で撮ってもらったレントゲンの結果、骨に異常はなし。
傷も擦り傷程度で、消毒のみで終了。
結果を聞いた私は逃げるように診察に戻った。

「すみません、戻りました」

すでに検査も終わり念のため入院となった患者は病棟の迎えを待っている状態。
私が診察を受けている間に、入院の指示は全て手高杉先生がすませてくれていた。

「お帰り大変だったね」
「いえ、お騒がせして申し訳ありませんでした」

今のところ患者はDVを認めてはいないが、入院すれば話を聞く時間はある。
高杉先生の手配でソーシャルワーカーの介入も予定されているから、全容も見えてくるだろう。
循環器科の私にできることには限界があるけれど、少しでも力になりたいと思っている。

「それにしても、随分派手な交際宣言だったね」
ニコニコと笑う高杉先生の意地悪な笑顔。

「すみません」
謝ることではないと思いながらも、他に言葉が見つからなかった。