俺様同期の溺愛が誰にも止められない

「ねえ、大丈夫だから」

お願いもうやめての気持ちを込めてみたけれど、素晴は手を離してくれない。
大きくて広いスペースの救急外来処置室の一角に並んで座る白衣が2人。
当然周囲からの視線も感じるし、それは間違いなく好奇の目。
素晴のように肝の座った人間でない私は、さっきから居心地が悪くて仕方ない。

「一応レントゲンを撮ってから消毒するか」
「えー」
思わず声が大きくなった。

「レントゲンは必要ないよ。ちゃんと動くし痛みも打撲程度だから」
「ダメだ。これも一応労災だからな」
「そんな大げさな」

どちらかというと私が勝手にしたことで自分の責任のような気もするし、実際怪我というほどの物でもない。私としてはそっとしておいてほしいのだけれど・・・

「影井先生、レントゲンの準備Okです」

すでに素晴がオーダーを入れていたようで、スタッフが呼びに来てくれた。

「ありがとうございます。じゃあ行くか?」
「・・・はぁい」
ここまで来たら逃げられないと、私も立ち上がった。