俺様同期の溺愛が誰にも止められない

素晴が懸念していた通り、患者の体には複数の打撲痕があり所見はDVを疑わせるものだった。
ただ、男性も患者本人もDVを認めてはおらず今のところ警察の介入はない。
実際今回の体調不良がDVによるものかどうかはわからないが、主治医としては黙っていられない。
もう一度患者と話をしようと診察室へと向かおうとした時、私は素晴に腕をとられた。

「お前はこっちだ」
「え、まだ診察があるのに」

心電図上大きな異常は見られなかったが念のために超音波検査をしてその後診察をする予定になっているから、私も同席するつもりでいる。

「お前、転倒した時に右腕を打っただろう。念のために診察するぞ」
「え、いいよ」

痛みはあるけれど動かないわけでもないし、傷も擦過傷程度。
わざわざ診察を受けるほどのことはない。

「ダメだ、行くぞ」
「ええー」

私も口をとがらせてみたけれど、素晴は険しい表情のまま。
どうやら逃がしてはくれないらしい。