「そっか。夢の中の僕は、ぴーちゃんのこと大事に出来てたかな」

「丁度ね、初めてキスした時の夢見てたんだけど…本当に唇の感触がしたから、びっくりして目が覚めたの。ちーちゃんは、今も昔も、夢でも現実でも優しいよ」

私は、横になっていたソファから起き上がると、冷蔵庫のミネラルウォーターで喉を潤す。

「今夜は遅くなってごめんね」

仕事柄、普段は私のほうが帰宅が遅いのだが、今夜はちーちゃんのほうが、職場の飲み会で遅くなることなら聞いていた。

「いいの。サラリーマンは、それも仕事の内なんでしょう?」

「うーん…強制的な飲み会はハラスメント扱いだし、僕も飲み会はいつまで経っても好きになれないな。いつもなら断ったけど、今夜はお世話になった先輩の送別会だったから」

「ちーちゃんの義理堅いところ、私は好きだけどね」

コンタクトをつけたまま船を漕いでしまったので、目薬を点していたところ、後ろからギュッと抱きしめられた。