崩れかかった城のそばで
感動の再会となった。

フィンレーとマージェ、ノーウッド。

旅に出ると行ってから、
半年の月日が流れていた。

騎士の試験があるからと
家を飛び出して、
父母は、心配そうにフィンレーを見る。

「フィンレー!無事だったのか。」

「心配したのよ。けがはない?」

「父さん、母さん。」

 体をベタベタと触ってはけががないか
 確かめる。

「大丈夫だって。心配すんなよ。」

 心配性の二人に少しうれしかった。

「大丈夫なら、よかった。
 お城が崩れたって聞いて、
 商店のみんながかけつけたんだ。
 何かあったのか?」

ノーウッドが聞く。
テオドールが亡くなったこと。
翡翠の原因かわからないが
城が崩れてしまったこと。
新しい王を決めなくてはいけないこと。
事細かに説明した。

「そうだったのか。
 フィンレー、
 お前に話さなくてはならない。」

「父さん、
 俺も、はっきり聞いておきたかった。」

「ああ、薄々、
 気づいているかもしれないが、
 フィンレー、
 お前は俺たち夫婦の
 本当の子ではない。
 本当の両親は、さっき話していた
 テオドール王なんだ。
 私たちは命じられて、フィンレーを
 育ててきたんだ。
 今まで、騙していたみたいで
 すまなかった。」

「本当のことを話してくれてありがとう。
 それを聞けて、やっと辻褄があったよ。
 この髪色であることの意味が
 分かった気がした。
 父さん、顔を上げて。
 俺にとって、
 血のつながりはなくても
 いつまでも父さんだよ。」

ノーウッドの目から
ポロポロと
涙がこぼれる。
この子育ては無駄じゃなかったと思えた。
がっしりと親子の絆を確かめた。

「そ、そう思ってくれただけで
 うれしいよ。」


「あと、聞きたかったことがあるんだ。
 翡翠の願い事って話は本当?」


「…それは、伝説って言われてる。
 真実は誰にも分からないんだ。」


「やってみないとわからないってことか。」


「城下町の地下道に、
 翡翠が眠ってるって噂はあったぞ。」

「可能性があることは、行ってみるよ。
 なぁ、ソフィア。」


「ええ、そうね。 
 今は、翡翠を追いかけるべきだわ。」


「よぽど、自力で再建したくないとみた。」


「当たり前でしょう。
 人手では限界があるわ。」


「まぁまぁ、そしたらいつものメンバーで
 行こうぜ。」

「任せろ。」

スカーレットは、立ち上がってアピールした。
レクエペとケラットは静かにうなずいた。

「装備品は大丈夫か。
 店に寄って行ってくれ。
 最近入荷した武器がある。」

「助かる。
 みんなの分、頼んだよ、父さん。」
 
小人の2人は飛び上がって喜んだ。

 ソフィアの横にマージェは近づいた。

「ソフィア王女。
 お体は大丈夫でしょうか?
 我が家は宿屋も併設しておりますので、
 お休みになられてはいかがですか?
 お食事もご用意いたしますよ?」


「本当ですか?
 至れり尽くせりで
 願ったり叶ったりです。」

「ぜひ、お疲れでしょうから。」

「ありがとうございます。」

 傷だらけのメンバーは、
 マージェとノーウッドのお店に
 向かっては、体を癒した。

 久しぶりの
 まともな食事に
 ありつけて、
 たいそう満足していた。

 げっぷが響くほどだった。

 偏食のソフィアでさえも
 完食するくらいだ。