大きな体のケルベロスは、雄叫びをあげた。

まずは相手の様子を伺おうと、
物理攻撃を仕掛けていく。

フィンレーは、レイピアで一撃を、
スカーレットは、グレートソードで軽く攻撃し、ソフィアは魔法の杖で叩いてみたが、
どれもまともなダメージを
与えられなかった。

攻撃をする際、1体としてではなく、
頭が3つあるため、それぞれに
攻撃しなくてはならないようだ。

さらに属性魔法を試そうと、
フィンレーが唱えようとする前に、
体当たりされた。

3つの頭で3段階の攻撃だった。
軽く負傷した。


『ブリザードボール!』

全体魔法攻撃を仕掛けたが、
ケルベロスの頭Aと
ケルベロスの頭Cには
軽くダメージとなった。
ケルベロスの頭Bには
回復してしまうようだ。

「次、私やってみる!」

スカーレットが手をかざして
唱えた。


『サンダースプリット!!』

 空から雷が大きな音を立てて、 
 ケルベロスの頭に落ちてきた。

 今度はさっきの攻撃の反対で
 ケルベロスの頭AとBが回復して
 しまっている。

「私も、使ってみるわ。
 属性に反応するなら、
 無属性魔法が良いわね。」

 ソフィアは、手をかざして
 魔法を唱えた。

『メテオティロス!!』

 天に星空が現れて、
 隕石が次から次へと、
 ケルベロスの頭に
 ぶつかっていく。
 読み通り、無属性のため、
 3つの頭すべてに攻撃することが
 できたようだ。

 会心の一撃のようだ。

 グターッと体が倒れていった。

 地面に頭がついたかと思うと、
 砂のようにサラサラと消えていく。

「良かった。倒したみたい。」

「結構、強い魔法使えるんだな。
 助かった。」

「これくらいしか強い
 魔法習得してないから。
 でも、無属性は大切ね。
 勉強になったわ。」

 すると、物陰に隠れていた小人たちが
 喜んでダンスしながら現れた。

「やった、やった。
 倒した、倒した。
 これで僕たちは自由になった~。」


「良かったわね。
 これで自由になったじゃない。」


「あのー…。」


「どうした?」


「金って取りには行かないんですか?
 池の下にある、あれ。」


「あれは本物じゃないだろ、たぶん。」


 フィンレーは予測する。

「え?!そうなんですか?
 僕ら今までそこにある金を守るだと
 思って…違うのか~。」

「分からねえけど、取りに行くのが
 面倒なわけ。
 あそこまでかなりの距離を
 泳がないといけないわけっしょ?
 俺には無理だ。
 お金には事足りてるし。
 欲はない。
 そろそろ、次行くか。」

「し、師匠!!」

 小人のレクエペは、目をキラキラさせて
 フィルレーを見つめた。

「は?師匠?
 なんで?」

「師匠の考えに尊敬します!
 僕たちはそもそも、金が欲しくて
 池の中に入りました。
 そこから、ケルベロスというボスに
 捕まり、脅されるように今まで門番を
 してきたんです。
  自制して欲をコントロールできる
 その考え方にまさにリスペクト!!
 師匠についていきたいです。
 もし、可能ならば、
 お仲間に入れていただきたいです。」

「あ、私もぜひお願いします。」

 ケラットも同時に懇願する。

「は、はぁー。」

「良いんじゃない?
 仲間が多い方が。
 ちびっこだし、潜入するとか
 何か役に立ちそうな気がするよ?」

 スカーレットは腕を組んで話す。
 ソフィアは横でひたすら頷いている。

「そっか、確かに、いろいろ
 頼めるかも。
 んじゃ、お願いするかな。」

「やったーー。
 よろしくお願いします。」

 2人は手を繋いでぐるぐるまわった。
 仲間が小人の2人が加わった。

 メンバーが5人になり、
 心強くなった。

 フィンレーたちは、
 次の目的地を目指す。

「次はここから東方向。
 雪深いところかもしれない。
 着こまないとね。」

 マップを確認した。
 雪雲が多く発生する地域だった。

 スカーレットは、剣を背負い直した。

 フィンレーたちは
 気合いを入れて歩き出した。

 草原フィールドでは風が強く
 吹き荒んでいた。