王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「あ……悪い」

 急につかんだから驚いたのだろう。ライオネルは散らばった楽譜を素早く拾い上げてエイミーに差し出した。だが彼女はそれを受取ろうとはせず、じっと差し出された楽譜を見つめる。

「おいモモンガ」

「……殿下、わたしはモモンガじゃなくて人間ですよ?」

「は? そんなことはわかっている。いいから楽譜」

「そう、ですか……」

 エイミーはライオネルから楽譜を受け取ると、ぺこりと頭を下げた。

「失礼します」

「…………」

 ライオネルは呼び止めようと手を伸ばしかけたが、かける言葉が浮かばずに力なく手を下した。