王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 エイミーは長いまつげを揺らして視線を落とす。

 ライオネルははーっと息を吐き出した。

「体調でも悪いのか?」

「大丈夫です……」

「ならはじめから通して歌ってみろ」

 これ以上話しても無駄だと判断して、ライオネルはピアノの鍵盤をたたく。

 だが、エイミーが最初の五小節を歌ったところでピアノの伴奏を止めた。

「もういい。気が乗らないみたいだから今日はもうやめよう」

 エイミーはきゅっと唇を噛んで押し黙った。

(やはりおかしいな。まさか熱でもあるのか?)

 気になったライオネルは、椅子から立ち上がると、黙ったままぼんやりと立ち尽くしているエイミーに近づいた。