王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

☆☆☆

 エイミーの様子が、変だ。

「おいエイミー!」

「…………」

「モモンガ!」

「え? ……あ、はい」

 放課後、いつものように城に歌の練習をしに来たエイミーは、ひどくぼんやりしているようだった。

 いつもなら話しかければすぐににこにこして不必要なことまでべらべらと喋ってまとわりつくくせに、今の彼女はただぼんやりと楽譜を持って立っている。

「俺の話を聞いていたか?」

「はい」

「じゃあ今俺が何と言ったのかわかるか?」

「『モモンガ』……」

「その前だ!」

「……わかりません」