王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

(そうか、あいつと婚約を解消したら別の女を探さなくてはならないんだな)

 王太子であるライオネルは自由に恋愛はできない。次の婚約者も、父や母、重鎮たちによって挙げられた候補の中から選ぶことになる。

 さすがにエイミーのような変人はもういないだろうが、他の候補たちが気に入らなくても、いつまでも「嫌だ」と逃げ続けることはできない。

(ああでもまあ、普通の貴族令嬢なんて、適当に言うことを聞いて機嫌を取っておけば、だいたい問題ないはずだし……)

 お姫様扱いをして優しく接してやれば、きっと満足するはずだ。エイミーと違って扱いやすいはずなのである。……それなのに、心がもやもやするのは何故だろう。

「早く婚約が解消できるといいですわね」

 邪気のない顔で微笑むパトリシアに、ライオネルは「ああ……」と、ぼんやりとした返事を返した。