王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 モモンガのように大きな目をした愛らしい外見のエイミーは、本当に、ただ笑っているだけならたまらなく可愛いのだ。中身が残念すぎるので普段はエイミーの顔の造形なんて眼中に入らないが、改めて見ると――うん、可愛い。

「殿下、今日はアーモンドクッキーですよ!」

 エイミーはルンルンと防音室のテーブルの上にクッキーの包みを広げた。

 途端にふわりと香ばしい匂いがする。

 エイミーには言ったことはないが、彼女の作るクッキーはお菓子職人顔負けの美味しさだ。

 思わずごくりと唾を飲みこんで、しかし仕方なさそうな顔を作ると、ライオネルはソファに座った。

 メイドにお茶を運ばせて、まずはティータイムを取ることにする。

「今日のはどうですか?」

「普通だ」

「よかった、美味しいんですね!」

「…………」

 ライオネルはもぐもぐとクッキーを咀嚼しながらエイミーを見た。

 いつもエイミーのことを、意思の疎通ができない変人だとか、言葉が通じないモモンガだとか思っているが、よく考えてみれば、ライオネルの天邪鬼な言葉の裏にある意味を、エイミーは的確に読み取ることがある。

(偶然か?)

 偶然に決まっている。そう思うのに、不思議と今日は妙にそれが引っかかった。