王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

(本当にあいつはモモンガじゃないのか? あり得んだろう普通)

 ライオネルはあきれたが、これで意味がわかった。

 しかしここから問題だったのは、パトリックもいったい何の言葉がどの音なのか覚えていないという点だった。そしてさらには、エイミーも当時が三歳だったためにその時のことを覚えていなくて、ただ体が覚えているような状況であるため、本人はその状況をあまり理解できていないのである。

 仕方がないのでライオネルは、一昨日と昨日の二日をかけて、エイミーが何の言葉でどの音を発生するのかを細かく記録していった。音域によっても微妙に言葉が変わったりするため、非常に厄介だったが何とかすべて確認し終えると、今度はそのメモを使ってエイミーのクラスの課題曲の歌詞を上書きすることにしたのである。

 もちろんまったく言葉になっていないが、今優先されるのは音を外さないことだ。音を外さずに歌えるようになってから歌詞をどうするか考えればいい。

 週末の今日は、午後からエイミーがやってくることになっている。

 午前中に歌詞を書き換えて、ライオネルは改めて楽譜を見た。

「うん、意味がわからん。だがまあいいだろう」

 ライオネルは満足して、そしてちょっとそわそわしながらエイミーを待った。

 午後になって、エイミーは手作りのクッキーを抱えてご機嫌でやってきた。

 エイミーはいつもたいていにこにこしているが、ここ四日、城に来るときはいつもに輪をかけてにこにこしている。

(黙っていれば可愛いんだがな)