王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「わかりませんけどあっていると思います」

「あっていない‼」

 ライオネルがぐしゃぐしゃと髪を乱して、もう一度ドの音を叩いた。

 歌えと顎をしゃくられたので、腑に落ちないながらも歌いだす。

「あ~~~~~~」

「高い。もっと下げろ」

「あ~~~~~~?」

「まだだ」

「あ~~~~~~?」

「声が揺れている。そしてまだ高い。もういいやめろ」

 ライオネルは少し考えて、ソのシャープを叩いた。

「これは?」

「あ~~~~~~」

「……なんでこれはあっているんだ? じゃあこれは?」

「あ~~~~~~」

「違う! 次はこれ」

「あ~~~~~~」

「これも違う! 次!」

「あ~~~~~~」

「違うっ、次!」

 ライオネルは一体何がしたいのだろうか?

 次々に鍵盤をたたいては歌えと言われて、エイミーはだんだんわけがわからなくなってきた。

 ただ、ライオネルが歌えというからには歌わなければならない。これをやめたらせっかくのデートが即終了だからだ。

 ライオネルはひと通り確認を終えると、言った。

「お前が歌ったのは全部ソのシャープだ! お前、音聞いてないんじゃないのか⁉」

「そんなはずないです」

「……は~…………」

 先は長いとがっくりと肩を落とすライオネルに、エイミーはますます首をひねった。