王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「急に顔を近づけるな!」

「じゃあ隣に……」

「来るな! 来たら力ずくで部屋からつまみ出すぞ!」

 対面のソファからライオネルの隣に移動しようとしたエイミーはがっかりしながら口を開く。

「殿下は音楽祭の説明を聞きましたか?」

「音楽祭? いや、まだだが。どうかしたのか?」

「それが、今年の音楽祭のテーマは、声楽なんだそうです」

「……なに?」

「だから歌です! どうしたらいいですか? わたし、歌は得意ですけど殿下はわたしは人前で歌っちゃダメだって」

「待て待て待て、歌が得意ってなんだ冗談か⁉」

「え? 知らないんですか殿下、わたし歌が得意なんですよ? 何なら一曲ここで披露……」

「せんでいい‼ ……あれか、もしかしなくとも音痴は音痴を理解しないから音痴なのか?」

「わたしは音痴じゃありません」

「なるほどもういい理解した」