王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 けれども、あの日――

 お城の庭で、ライオネルを追いかけて走り回っていたあの日。

 うっかり転んで泣いてしまったエイミーに駆け寄って、ライオネルは手を差し出してくれたのだ。

 ずっとエイミーのことを無視していたのに、「大丈夫か」と言って。仏頂面を浮かべながら、それでも膝小僧の怪我を手当てしてくれた。

 ライオネルのことは会った時から大好きだったが、エイミーの彼への気持ちはあの時に固くかたーく固まった。

 ライオネルが好きだ。

 彼以外はいらない。

 どんなに邪険にされても無視されても、エイミーはライオネルだけが好きなのだ。

(唇……でも、寝ているときにキスしたら怒るよわよね?)

 すごくすごくすごーくキスしたいが、さすがに意識のないときに襲うのはダメだと思う。

(殿下、どうすればわたしを好きになってくれるのかしら?)