王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

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「絶対別れる絶対別れる絶対に別れてやるあの女ぁ‼」

 医務室のベッドの上で、ライオネルは呪いを吐いていた。

「まあまあ、怪我がなくてよかったじゃないですか……ぷぷっ」

 医務室に常駐している医師ウォルターは、肩をぷるぷるさせて笑っている。

 このウォルターは、ライオネルがフリージア学園に通う二年間の間だけ保険医を務める医師であり、本来はライオネルの侍従だ。

 医師免許も持っているウォルターは、基本的に従者や護衛が張り付けない学園内でライオネルを補佐するために、国王の采配で二年間だけ保険医に転職したのである。

「いいわけあるか‼ こんな屈辱はじめてだ‼」

「十一年前も気絶したって聞きましたけど?」

「あの時は五歳だったじゃないか! 今の俺は何歳だ!」

「十六歳ですねえ」

「くそっ」

 衆人環視の前で落とし穴に落とされた挙句気絶して医務室に運ばれたなんて、こんな恥辱があるだろうか。

 ライオネルはダンッと拳でベッドを殴る。