王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「殿下殿下、もしわたしが殿下の防御結界を破ることができたらキスしてください」

「防御結界の授業なのに破ろうとする意味がわからん」

「わたしの防御結界が破れたら殿下のお願いを何でも一つ聞きますから」

「乗った!」

 ライオネルが食いつくと、エイミーは飛び上がった。

「やったー! 約束ですよ?」

「もちろんだ。お前こそ約束は守れよ。なんでも言うことを訊くんだな」

「はい、もちろんです! あ……でも、できれば恥ずかしいお願いは二人きりの時に……」

「ハハハハハ安心しろそんな願いは死んでも口にしないしそんな日は永遠に訪れない」


 ライオネルは乾いた笑い声を立ててポッと頬を染めるエイミーを無視すると、さっそく自分の周りに結界を展開させた。

 それは授業で教師が説明した「初級」の防御結界ではなく「上級」のそれだったが、教師も見て見ぬふりをしている。二人が入学して一か月。二人の「じゃれあい」は無視するに限ると、教師たちの間では暗黙の了解になっているからだ。もちろんエイミーもライオネルも知らないが。

 ライオネルが上級魔術で強固な結界を築き上げると、エイミーも負けじと自分の周りに結界を展開させた。もちろんこちらも上級だ。

「時間制限はどうする」

「五分にしましょう」

「いいだろう。それから炎魔術は禁止だ。周囲に被害が出るといけないからな」