王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「殿下殿下、今日のわたしどうですか?」

「いつもと同じだろう。いやいつにもまして気味が悪い。……なんだ?」

 平坦な声で答えたライオネルに向かって自分の唇を指さすと、彼は眉間にしわを寄せた。

「歯でも痛いのか?」

「違いますよ。見てください。ぷるぷるでしょ?」

「なにが。頭の中か? ああ、お前の頭の中は脳のかわりにプティングでも詰まっているのか。道理で」

「唇です! キスしたくなりませんか?」

「なるか‼」

「えーでも、キスしたくなる唇になれるって書いてあったのに……」

「またわけのわからんことを……いいか? その口を少しでも俺に近づけてみろ、問答無用で猿轡を噛ませてやるからなっ」

「そんな、殿下以外が触れないように猿轡を噛ませてくれるなんて」

「お前は本当はものすごく馬鹿なんじゃないか⁉」

「恋に落ちたらみんな馬鹿になるらしいですよ。殿下もぜひ馬鹿になってください」
「もういい。お前と話していると体力も精神力も根こそぎ奪われていくからな」

「腰砕けですか?」

「違う‼」

「へへ~」

「なんで嬉しそうなんだ……」