王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 わかっているのかいないのか、エイミーはにこにこと笑って、ライオネルの腕にすりすりと頬ずりする。

(するとこいつは、死んで生まれ変わっても、世界が消えてなくなるまでずっとまとわりつく気なのか……)

 そんなことは絶対に不可能だと思うのに、この摩訶不思議なエイミーならば有言実行してしまいそうな恐ろしい気配がしてくる。

 そしてそんなことを言うエイミーにあきれつつも、本当にそうなったとしても嫌ではないと思っている自分に、ライオネル自身が一番驚いた。

(いつの間にかこいつに完全に毒されている気がする……)

 講堂で、全生徒を前に両想い宣言をしたエイミーはとにかくご機嫌である。

「殿下、それでご褒美ですけど」

(意地でも褒美をよこせというわけか……)

 こうなれば、エイミーはライオネルから褒美をもらうまでごねるだろう。

 ライオネルはあきらめた。実際に、今日の計画を練ったのはエイミーだし、ライオネルのためにあの奇妙な陶器人形に防御魔法を仕掛けたのもエイミーだ。ライオネルは倒れたふりをしていただけでほぼ何もしていない。

「あー、わかったわかった。褒美をやればいいんだろう? 何が欲しいんだ。リボンか、お菓子か、それともアクセサリーか? なんでもいい、好きなものを言え」

 エイミーとは十一年も婚約者同士だったが、思い返せば、ライオネルがエイミーに何かをプレゼントしたのは、一年に一度訪れる彼女の誕生日のときだけだった。エイミーではないが、これまでとは違ってきちんと自分の気持ちを自覚したのだから、婚約者にプレゼントの一つや二つ贈るのはやぶさかではない。

「やったー!」

 エイミーはその場でぴょんぴょんと飛び跳ねてから、自分のふっくらしたほっぺたを指さした。