王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 講堂は騒然となっていた。

 舞台袖から転がるように駆けだしたエイミーは、ピアノの側に倒れたまま動かないライオネルに横に膝をつく。

「殿下! 殿下⁉」

「エイミー様、触らないでください!」

 舞台の下で見ていたウォルターが駆けつけて、ライオネルに触れようとするエイミーに向かって、大きな声でそう言った。

 舞台下では教師たちが騒然となる見学者や学生を落ち着かせている声がする。

 ライオネルのクラスメイト達は一様に青ざめて、倒れているライオネルを見つめていた。

「この場から誰も動かないでください」

 ウォルターが警備員に紛れ込ませていた魔法騎士たちも集まって来た。

 ウィルターは素早くライオネルの手を確認すると、右の薬指の先が血でにじんでいるのを見つけた。エイミーも覗き込むと、針で刺されたような跡がある。

「ウォルター」

 ウォルターがライオネルの首に手を当てて脈を測っていると、舞台に国王が上がって来た。

「ライオネルは?」

 ウォルターは顔を上げて、ぎゅっと眉を寄せる。

「脈はありますが、早急に処置が必要です」

「わかった。では、あとのことは私が――」

 国王がそう言って、いまだに喧騒に包まれている講堂内に視線を向けたときだった。