王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

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 音楽祭の日は、朝からどんよりとした曇り空だった。

 気圧の変化で頭痛を覚えるライオネルは朝からつらそうだ。

 音楽祭は講堂で行われるが、歌を披露する順番は一年生から、クラス番号の小さいクラスから行われる。
そのため、一年一組であるライオネルのクラスが最初だ。

 講堂には音楽室からピアノが運び込まれ、伴奏者一名がピアノの前に座る。

 一年一組の伴奏者はライオネルだった。

(殿下、大丈夫かしら?)

 エイミーのクラスはライオネルたちのクラスの次なので、舞台袖からエイミーはじっとライオネルを見つめていた。

「殿下が伴奏なのね」

 エイミーの隣で舞台袖から舞台を見ているシンシアが言う。

「殿下はピアノがすっごく上手なのよ。だからわたしはヴァイオリンを一生懸命習うことにしたの」

「ちょっと意味がわからないんだけど、どういうこと?」

「ヴァイオリンを頑張ったら、殿下が一緒に演奏してくれるかもしれないでしょ?」

「ピアノの連弾でもよかったんじゃないの?」

「殿下はピアノの次にヴァイオリンが好きなのよ」

「は?」

「殿下が一番好きなピアノをやって、殿下が二番目に好きなヴァイオリンをわたしがするの」

「……ごめんわけがわかんないわ」

 シンシアは「もういいわ」と言う風に手を振った。