王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 放課後、ウォルターに用意してもらった二年三組の生徒の部活動の一覧と、それから昨日の行動履歴の写しをもらって、エイミーはカニング侯爵家に帰宅した。

「やっぱりこれ、おかしいのよね」

 自室でエイミーが資料を見ながらぶつぶつ呟いていると、スージーがお茶を入れながら首を傾げる。

「なにがおかしいんですか?」

「うん……。ねえスージー、例えばなんだけど、園芸部に在籍していない人が、こっそり園芸部の部室を訪れる理由って何だと思う?」

「花が見たくなったんじゃないですか?」

「それが、肥料とかしゃべるとかを収めている倉庫だったとしたら?」

 スージーは不思議そうな顔をして、うーんと唸った。

「そうですね……ええっと、何か花を植えたくなったけど肥料もしゃべるも持っていないから、倉庫から拝借しようとした、とか? でもそれって泥棒ですよねー」

「じゃあ、それが音楽室だったらどうかしら?」

「音楽室ですか?」

「ええ。音楽室は放課後、音楽部が使うでしょう? でも、音楽部が楽器を持ち出したあとで、こっそり誰かが音楽室に入ったら……それも泥棒目的だと思う?」

「フリージア学園のお話ですよね? フリージア学園の楽器が盗まれたりしたら大騒ぎになりませんか? 肥料とかしゃべるくらいなら騒がれないでしょうが、さすがに楽器は高価ですし……」

「盗難届が出されて、すぐに捕まるわよね」

「盗まれたんですか?」

「うーん、どうかしら? まだ調べてみないとわからないわ」

 エイミーは資料を置いて、スージーが入れてくれた紅茶に口をつけた。

 それからしばらく考え込んで、紅茶を飲みほしてから立ち上がる。