王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 ウォルターは苦笑して、報告を続けた。

「一応、あの人形は魔除けの一種らしいですよ」

「魔除けじゃなくて魔物の間違いじゃないのか」

「店主によれば、東の国の魔除け人形を模して作ったらしいです。ただ、別に魔除けとして売っているわけではなく、ただの置物として販売していたみたいですが。意外と好事家たちが買っていくらしいですよ」

「……これを?」

「まあ、芸術と奇妙は紙一重と言いますからね」

「芸術……」

 これを芸術と思う人間の感覚はおかしいのではないかとライオネルは本気で思ったが、すぐ横で嬉しそうに人形を抱えているエイミーがいるので口には出さなかった。

(エイミーはモモンガの感覚だから仕方がないと思ったが、意外とほかにもあれがいいと思う人間がいるのか……)

 ライオネルは王子で、城でずっと生活していたため、芸術品は見慣れている。だからどうしてもあれを「芸術」の枠に入れるのは嫌だったが、世の中には「芸術」の枠が非常に広い人間もいるらしい。

(まあいい、とりあえずあれは置いておこう)

 エイミーも、しばらくあの奇妙な陶器人形遊びに夢中になっているはずだから放置でいい。リボンを巻くだの服を着せるだの言っているが、色を付けられるよりはまだましだ。なぜならリボンも服も取り外せるからである。