王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 ライオネルは両手で顔を覆ってうつむいた。

 エイミーはそれを勝手に首肯だと認識して、ウォルターに人形の手配をお願いすると、持参したお弁当を開く。

 しばらくの間、作戦会議もかねて医務室でお昼を食べることにしたのだ。

 ライオネルはパンでいいと言っていたが、それでは栄養が偏るので、ライオネルの分のお弁当も持参している。

「はい、殿下。ちゃんと冷めても美味しいものだけを詰めてきましたから安心して食べてくださいね」

「……ああ」

 何故かぐったりしているライオネルが、疲れた顔でお弁当を受け取った。

 ライオネルのためにお茶を用意していると、陶器人形の欠片を片付けたウォルターが、学園の見取り図をテーブルの上に広げる。

「食べながらでいいんで聞いてください。今日のこの陶器人形が降って来たときの追跡結果ですけどね、術者はここにいたみたいですよ」

 見取り図には、赤いピンが刺さっている。

「二年三組か」

「ええ。今回の追跡魔術で調べられるのは場所だけですから、人物の特定にまでは至っていませんが……こちらが二年三組の名簿です」

「この時間帯にこの教室で授業を受け持っていた教師も頼む」

「はい。ええっと……授業の担当教師の一覧はこちらですね」

 ウォルターが二年三組の生徒の名簿と、それからどの教師がいつどこで教鞭を取っているかの一覧をテーブルの上に広げる。

「二年三組の生徒とそれからこの教師については、今日から監視をつけることにしています。いつどこで何をしていたかすべてまとめて報告するように伝えておりますので」

「ああ、助かる」

 話を進めているウォルターとライオネルをよそに、エイミーはじーっと名簿に視線を落として、それから首をひねった。

「でも殿下、二年三組には、殿下やわたしのお父様のことをよく思っていない貴族は、いませんよね」

 どの貴族がどこの派閥にいてどういう立ち位置であるか、エイミーはすべて記憶している。
 エイミーが言えば、ライオネルとウォルターはもう一度名簿を確認して、難しい顔で唸った。

「念のため、エイミーの頭にあの変な人形が降ってきた時間、この教室に名簿に載っている以外の人間がいたかどうかも探らせろ」