王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「眠っている女性に何をしているんですか。エイミー様が可愛くて仕方がないのはわかりますが、安眠妨害ですよ。やめて差し上げなさい」

「か、かわ――」

 ライオネルは赤くなって「可愛いわけじゃない」と言いかけて口をつぐんだ。

 ウォルターの言う通り、確かに可愛いと思っている。だが別に可愛いから頬をつついていたわけではなくて、面白いからつついていたんだと心の中で言い訳して、ライオネルは名残惜しく思いながらもエイミーの頬から手を放した。

(このモモンガが可愛いなんて、俺の頭はきっとおかしくなったに違いない)

 うるさくて鬱陶しかったはずなのに、今はこの人間とモモンガの中間のような不思議生物がたまらなく愛おしい。

「殿下、どうせエイミー様が目覚めるまでここにいるつもりなんでしょう? 待っている間ちょっとこっちに来てもらえますか?」

 五限目の授業はサボるつもりなのだろうと暗に言われて、その通りだったライオネルは素直にウォルターの側へ向かった。

 ウォルターは机の引き出しから紙の束を取り出してライオネルに渡す。

「頼まれていた件です。こっちが教師からの聴取で、こちらが目撃情報、それからこっちが、情報をもとに私がパターン化したデータになります」

「助かる」

 ライオネルはウォルターから報告書を受け取って素早く内容に目を通す。

 これは、エイミーが泥まみれになっていた日に、ライオネルがウォルターに彼女に何かが起こっているかもしれないからと言って調べさせた件だった。

 思っていた以上に件数が多くて、ライオネルは報告書をめくるごとに表情を険しくする。