王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

(まあだが、エイミーだし)

 ここのところ意思の疎通はできていたが、もともとエイミーはもしかしたらモモンガなんじゃないかと思うほどに意味不明だ。だから考えたところで無駄なのである。

 ウォルターにエイミーを任せて屋上に戻ると、ライオネルは床に散らばった弁当の中身を片付け、食べかけの自分の弁当と一緒に持って医務室へ戻る。

 エイミーはまだ目を覚ましていなかった。

(エイミーの寝顔を見るのははじめてだな……)

 白く滑らかで、ふんわりしていそうなエイミーの頬の曲線を見ていると、むくむくと好奇心が湧いてくる。

 そーっと手を伸ばして、指先でふにっと頬を押すと、柔らかいながらも適度な弾力が指を押し返してきた。

(……これはちょっと、癖になる)

 触り心地がよくて、ライオネルはふにふにとエイミーの頬をつつく。

 すると、抗議するようにエイミーの長いまつげが震えた。

(なんだ? 痛かったのか? そんなに力を入れてつついてはいないんだが……)

 ライオネルは今よりも少し力を緩めて、けれどもふにふにと頬をつつき続けていると、それを眺めていたウォルターが非難めいた視線を向けてきた。