王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 ライオネルが教室にやってくる前に逃げ出すことに成功すると、エイミーはそのまま屋上までの階段を一気に駆け上がった。

「はー、はー、はっ……これだけ急げば、さすがに殿下には気づかれてないわよね」

 ぜーぜーと肩で息をしつつ、エイミーは額の汗を拭う。

 屋上のベンチに腰掛けて空を見上げると、空は朝よりも重たい雲が覆っていた。

「雨降りそう。早く食べないと」

 エイミーは急いでカバンからお弁要箱を取り出す。

 そして無心でお弁当の中身を胃に押し込んで、いつもよりの半分の速度でお弁当を平らげたとき、ぽつんと頬に冷たいものが当たった。

 雨が降りはじめたのだ。

 エイミーは慌てて屋上から出ると、階段の一番上の段に腰を掛ける。

 昼休みが終わるまでここで過ごしていれば、ライオネルも気づかないだろう。

(……でも雨か。殿下、頭が痛くなっていないかしら?)

 気圧の影響を受けやすいライオネルは、天気が崩れた日には頭痛を覚えることが多い。

 エイミーは膝を抱えると、「殿下、大丈夫かしら……」と小さな声でつぶやいた。