(……泣くほど、嫌だったのか…………)

 ライオネルはもう何も言えなかった。

 キスしろと騒いで抱き着いてきていたエイミーは、もうどこにもいないのだと、エイミーの顔を見て悟ったからだ。

 今のエイミーは、ライオネルにキスが泣くほど嫌なのだ。

 よろよろと立ち上がる。

 そして――

「もういい」

 これ以上エイミーの顔を見ていられなくて、ライオネルは泣き出しそうなエイミーを一人温室に置き去りにしたまま、逃げるように出て行った。