王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

「殿下、ほら、授業に遅れちゃいますよ」

「お前は……!」

 ライオネルが、何故か苛立たし気に舌打ちした。

 エイミーはどうしてライオネルが苛立っているのかがわからずに、しょんぼりと肩を落とす。

 嫌われたくなくておとなしくしているのに、エイミーの何かがライオネルを苛立たせてしまったらしい。

(泥まみれだからみっともないと思われているのかな?)

 水の魔術を使って、頭から水をかけて流してしまってもいいが、六月になってジャケットを脱いでいるので、上は白シャツ一枚だ。水をかけると下着が透けてしまうので、できれば人前ではやりたくない。特にライオネルの前では絶対に。

「とにかくそのままでは困るだろう。ええっと、怪我をしていないかどうかも確かめる必要があるし、ひとまずウォルターのところへ――」

 行くぞ、とライオネルが手を伸ばしてきたので、エイミーは慌てて逃げた。だからエイミーは泥まみれなのだ。ライオネルが汚れたら大変なのに、どうして触ろうとするのだろう。