王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

(テニスボールとか、本とかだったら汚れなかったのに……)

 教科書は紙だ。泥を落としたところでこれでは使い物にならないだろう。

 シンシアが大慌てで教師を呼びに行く後姿を見やりながら、エイミーはどうしたものかと考えた。

 教科書は買いなおせるが、エイミーは授業中のメモを教科書に直接書き込む癖がある。せっかく書き込んだメモがぱあになってしまった。

 ぼとぼとと頭の上からまだ泥が落ちてくる。

 エイミーが前かがみになって頭の上に乗っている泥を下に落とそうとしたときだった。

「おまっ――それは一体どうしたんだ⁉」

 大きな声が聞こえてきたので視線を上げると、ライオネルが血相を変えて駆け寄ってくるところだった。