王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

(解放? 解放されたいのは俺の方だ。何故あのモモンガを俺が縛り付けているみたいな言い方をする。望まない婚約で縛り付けられているのは俺の方だ!)

 そう叫べたらどんなにいいだろうか。

 ライオネルは頭痛を我慢するようにこめかみを押さえて、くるりと踵を返した。

「すまないが無駄話に付き合っている暇はない。失礼する」

 ライオネルはこれから食事を取りに行くのだ。シンシアの意味不明な話に付き合っていたらくいっぱぐれてしまう。

 シンシアはライオネルを止めなかったが、背後から大きなため息が聞こえてきて、ライオネルはムカムカしてきた。

(なんなんだ、ケビンと言い、モリーン伯爵令嬢と言い! 俺は被害者だぞ⁉)

 何故、みんなあの珍獣の心を考えろと言う。

 何故、あのモモンガが可愛そうなのだ。

 ライオネルは昼食を取りにカフェテリアに向かっていた足を止めて、医務室へ方向転換した。