王子様を落とし穴に落としたら婚約者になりました ~迷惑がられているみたいですが、私あきらめませんから!~

 ここで問題だったのは、エイミーは五歳にしては優秀な子で、家庭教師から簡単な魔術の扱いも教えられていたという点だ。

 どうせなら大きな落とし穴を掘って驚かせようと考えたエイミーは、魔術を用いて、大人がすっぽり入るほどの巨大な落とし穴を掘った。

 落とし穴を掘り終わった時点で「歓迎」から「驚かせる」へ思考が移動したエイミーは、さらに落とし穴をわからなくさせるために魔術を用いて蓋をして、周囲の芝と同化させた。

 そして、よくよく見なければ大人でも気がつかないだろう完璧な落とし穴を作成したエイミーは、意気揚々と王子様の到着を待ったのである。

 もしエイミーが落とし穴を掘ったことに侯爵夫妻や二つ年上の兄が気づいていたら、落とし穴は急いで埋められたことだろう。

 しかしライオネルを驚かせたい一心のエイミーは、もちろん両親や兄にも内緒にしていた。――それが、悲劇を生むことになるとは、もちろん気づかずに。