「ひぃ!ゆ、ゆ、結城くん…!」



万年無愛想な同級生、身長180センチ近くある結城蓮(ゆうきれん)くんが、身長153センチの私を見下ろしとる。



「ひぃ、って…。なんなん?オバケでも見たみたよーな反応せんでもいいやん。」



ヤバい。舌打ちでもされそうな雰囲気。


「すみません、ごめんなさい。」


結城くんの迫力に負けて、咄嗟に謝罪の言葉を口にする。



相変わらず怖いよぉ…。



あまり話したことはないけど、私は結城くんがちょっと苦手だ。


実は、結城くんと葵は幼馴染みで、よく忘れ物をする結城くんは、葵のところに教科書や参考書を借りにくる。


「またぁ?蓮、毎度毎度、忘れ物多すぎやない?」


なんて言われて、葵に怒られている結城くんを、私はいつも、葵の隣で見ていた。


結城くんは、いつ会っても無愛想やし、高身長ゆえに、低身長の私はいつも見下ろされ、いつも彼の影にすっぽり隠れてしまう。


彼の影に全身を覆われる度、なんだかちょっと怖い。
なので、結城くんとは極力目線を合わせないようにしていた。

 

そんな彼と、修学旅行先で2人きり。



あれ、2人…きり?

なんで??