『まもなく、終点、博多です─』
博多、というフレーズが聞こえてきて、反射的に目を覚ました。
いつの間にか眠ってしまったみたい。
そして…
気付いたら、私は結城くんの肩に、結城くんは私の頭に、それぞれ頭をもたせ合ったまま、眠ってしまっていたみたい。
内心、慌てながらも、ゆっくりと結城くんから上半身を離す。
結城くんは、目をつむったまま、傾けていた体を真っすぐに戻している。
「ゆ、結城くん。起きて。もうすぐ着くよ。」
そう言いながらそっと結城くんの肩を叩いてみる。
…起きない。
「結城くんっ」
もう一度肩を叩きながらそう言うと。
やっと起きたようで、薄目で私の方を見たけど、すぐに目を閉じてしまう。
そして。
「…名前で呼んでもらえないと、俺は起きませーーん。」
やっと口を開いたと思ったら、とんでもないことを言う。
「なっ…!ね、寝ぼけてないで起きてよ!」
「寝ぼけてない。『蓮くん♡起きて♡』って、名前で呼んで、起こして。」
は、はいーー!?
なんか、語尾にハートマークまでついてるような気がするっ!
どうしようかとあたふたしているうちに、博多駅のホームに着いて、乗客がどんどん降車していく。
あっという間に周りの人たちは降りてしまって、車両の中は私たち2人だけになってしまった。
…もう、どうにでもなれっ!



