明緋のゴツゴツとした大きな手が八重の頬を包み込む。その手は温かくて、ドキドキするけど明緋から目が離せない。
明緋の頬も朱色に染まっていた。
「八重、俺……」
明緋が何かを言いかけた、その時。
「おい!そこで何をしている!?」
先生の声だ。二人は慌ててパッと離れた。
「明緋さん、行ってください。わたくしがどうにか誤魔化しますから」
「えっでも」
「大丈夫ですわ」
明緋は少し複雑そうな表情になったが「わかった」と頷いて絆創膏を渡した。
「これ、後で連絡してくれ」
「え?」
「またな、八重!」
明緋は白い歯を見せ、にこやかに笑って走り去って行った。絆創膏を確認する間もなく、先生が来てしまう。
「満咲じゃないか。何してるんだ?」
「少し気分が悪くなってしまいまして、夜風に当たってリフレッシュしておりました。すみません、すぐに戻ります」
「そうか、大丈夫か?気をつけて帰れよ」
「はい、ありがとうございます」
怖くて有名な先生だが、成績優秀で品行方正な八重は特に疑われることもなくすぐに帰された。チラリと明緋が帰って行った方向を見やる。
無事に帰れたことを祈りながら部屋に戻った。



