八重はスクールバッグから一枚の絆創膏を取り出した。かろうじて持参していたのは、赤いくまのキャラクターの絆創膏一枚だった。
「これしかなくてすみませんが、使ってください。それから傘も」
そう言って差していた傘を少年の隣に置く。
「ちゃんと体をあっためて、手当てしてくださいね。どうぞお大事になさってください」
八重は雨の中、傘なしで車に戻って行った。
当然ながら、びしょ濡れになってしまったので運転手は大慌てだった。
帰宅してすぐにお風呂に入らされたことをよく覚えている。
* * *
「あの時の方が、明緋さん?」
「ああ。あん時は髪色が違って確か茶髪だったと思うけど、その後赤に染めたんだ」
「そうでしたの……驚きましたわ」
「俺のこと少しも怖がらないどころか説教してくる女子は初めてだったし、黒髪にグレーのメッシュ入れてたのが印象的でさ。一目見てあの時の子だ!ってわかった」
「そうだったのですね」
「ずっと会いたかった。まさか沖縄で会えるとは思わなかったけどな」
「……わたくしも、また会えて嬉しいです」
何よりも元気になった姿を見られたことがとても嬉しかった。



