「もう八重と、会えなくなるかもしれないって思った。それが嫌だって思って、ここまで来てた」
「それを聞くためにわざわざ……?」
「なぁ、八重。俺がどうしてあの時、八重の前に飛び出してきたと思う?」
「それは……偶然近くで見ていたからでは?」
すると、明緋はかぶりを振る。
「ごめん、八重。本当は偶然なんかじゃないんだ。
俺はずっと八重のこと見てたんだよ」
「え……?」
明緋の言ってる意味がわからず、八重は瞬きを何度もした。
「その黒髪にグレーのメッシュを見た時、絶対あの時の子だって思った。絶対覚えてないだろうと思ったけど、どうしても話しかけたくてずっとチラチラ見てチャンスを窺ってたんだ」
「え、どういうことですの?」
「この絆創膏、覚えてねぇ?」
「あ……」
明緋が見せたのは、赤いくまのキャラクターが描かれた絆創膏だった。かわいらしいその絵柄に見覚えがあった。
そして一気に記憶がフラッシュバックしていく。
「えっ、あの時の……!?」
「そうだよ、八重」
思い返してみれば、あの時の少年だ。
赤い髪ばかりが目立って全然わからなかった。
「八重にずっとお礼が言いたかったんだ」



