溶けたラムネ入りの炭酸ジュースは、美味しくない。

仕方なくりんご飴を購入してあげると、大事そうに両手で持っていた。

「フランク、売り切れでーすありがとうございましたー」

なんと売り切れしてしまった。

「買えなかったけど、別に悪く思うなよ、胡桃のためのネタ集めなんだから」

「優しいですね、先輩は、やっぱり」


どこか懐かしく思うような顔をしていて、何と重ねて見ているのかと不思議と気になった。


聞いたところで無駄か…。


「そろそろ始まりますね、花火」


僕たちは木の下のベンチに座り、花火を見ることにした。

たまたま席が空いて座れた。

なぜ帰るのか。始まってもないのに。

不思議だった。

「先輩、あそこラムネ売ってますよ」

「ほしいのか」

「はい」

「まってな、買ってくるから」

この前散々だったラムネ入りの炭酸ジュースを思い出した。

偽物のジュース。

「ふたつ貰えますか」

胡桃は、スマホでカメラを起動していて、花火大会が始まると同時に、写真を撮り始める。

スマホで撮っているところに、僕がラムネをふたつ持ってベンチに座る。

「綺麗ですね!」

大きな声で耳元で伝えてくるくるみの表情は、光り輝いていた。


僕はラムネを開けようとビー玉を下に落とすと、静まるまで抑えた。

よし、こぼれ無かった。

やっぱりラムネは本物に限る。美味しいと感じた。

前みたいに吹きこぼれるのはいやだからな。

「私も開けようかな」

そう言って、胡桃はビー玉を下に落とし、すぐに手を離した。

すると中からラムネが溢れ出し、浴衣はびしょびしょになった。

下着が透けて、胡桃の騒ぎようで他の人の注目の的だった。

花火ではなく、胡桃のことを見ていた。


「これで隠せ、いくぞ」

咄嗟に上着を渡して隠し、その場を後にした。