夏の陽射しに包まれた町。聞こえてくる蝉の声。東京とはまた違う景色。


「あら優ちゃん」


ガラッと扉が開いてニコニコと出迎えてくれたのは、俺・愛川優也の祖母。


「ばあちゃん久しぶり」

両親が仕事で海外へ出張に行ったので、夏休みの間祖父母の家に居候することになったのだ。


「また大きくなってー」
「じいさん、優ちゃんが来ましたよ」

「おお、優也よく来たなぁ」

「じいちゃん久しぶり」


ここは、東京と違ってすごく居心地が良い。夏休みの間だけではなく、ずっとここで暮らしていたいぐらいだ。
別に、東京が嫌いなわけじゃない。嫌いなのは自分の両親なのだ。

あの親は…
「優ちゃん、お昼ごはんできてるよ」

「あ、うん」


…まぁ、そんなこと今考える必要ない。


「腹減ったー…」


そーいや今日寝坊したから朝メシ食ってなかったな…なんて考えながら小走りで居間へ向かった。