ただいま、私の王子様。




怖かった。ものすごく怖かった。
蛙化したなんて言ったら、先輩は怒るだろうと思っていた。
香苗だって、私のことを見放すと思った。
いくら友達で、親友でも、最低すぎるから。


だけど二人とも、優しかった。
すごくすごく優しかった。

その優しさが、私は最低だって嫌でも教えてくる。
いっそ、みんな私のこと嫌って、離れてくれればいいのに―

「美織?大丈夫?怖い?」

「ん…ちょっと怖い」

「大丈夫、あたしがずっと付いててあげるから。約束ね。指切りする?」

「あはは、いいよ。しよ」

香苗は悲しくなるぐらいにいつも通りだった。
変に気を使ったりしないで、いつも通り接してくれた。
ありがたかった。
今の私には、もう、それだけで十分だった。